つばめ療育館は、平成28年4月に開設以来おかげさまで7年目を迎えています。
のちに、親子館・大曲分館・しばた分館を開設。現在は、4つの事業所で児童発達支援(0歳から小学校入学まで)と放課後等デイサービス(小学校入学から高校卒業まで)を提供しています。
この度、ご利用児の開始年齢を調査いたしました。調査対象期間は、平成28年4月から令和4年10月まで。
ご利用児の総数は226人。開始年齢をグラフにしてみると、いろいろのことに気づかされます。
発達障害児が年々増え続けていることはご存じでしょうか。なかでも、自閉スペクトラム症の増加が目立っています。早くて2歳、通常3歳から5歳に診断されることが通例となっています。
つばめ療育館の利用開始年齢グラフからも読み取れると思います。しかし、これでよいのでしょうか?
自閉スペクトラム症は、一般的に「コミュニケーションの困難さ」「興味関心の限局」「感覚刺激への過敏さ」「意に沿わないと癇癪を起す」「座っていられない」「集団に入れない」「言葉が不明瞭」などの症状が現れます。
このような症状が現れないうちに、予防することはできないのでしょうか。
「発達障害医学」を専門とする広島市こども療育センター小児科坪倉ひふみ医師により監訳された『自閉症かな?と思ったとき』には、次のように書かれています。
「生後1年間に、寝返り、ハイハイ、お座り、歩行ができるようになります。後に自閉症と診断される子どもは一般に、これとは異なる運動を示し、しばしば期待される運動に到達することができません」
(引用:『自閉症かな?と思ったとき』)
つばめ療育館の利用開始年齢グラフから、0歳からの開始10人、1歳からの開始20人。この中には、お母さんが発達の遅れに気づき療育を開始されたケースが含まれています。
つばめ療育館の作業療法士と言語聴覚士が中心となり、早期から利用開始となった30人の支援経過を振り返り現状の評価を行いました。確実に自立力が増していることが確認できました。

令和4年5月に開設したつばめ療育館しばた分館(新発田市御幸町)での事例です。
生後8ケ月のお子さんです。通常5ケ月で寝返り、7ケ月でお座り、8ケ月でものにつかまって立ち上がる(遠城寺式より)という運動に到達します。
事例の生後8ケ月の状態(2022.6.1)では手足を中央で合わせることが難しく、寝返りは片側のみでしたが、支援2ケ月後には手足を体の中央で合わせようとすることができ、左右いずれの方向にも寝返りができるようになりました。
つばめ療育館の療育は、発達の土台となる身体の改善から初めて、運動課題・机上課題を繰り返し自立力を伸ばしていくプログラムを提供しています。

 

つばめ療育館が考える理想の利用開始年齢をグラフで表すとこのようになります。
生後1年間に、首がすわる、寝返り、ハイハイ、お座り、つかまり立ち、つたい歩き、座った位置から立ち上がる、2~3歩あるく(遠城寺式より)と順を追って運動発達を遂げていきます。
このような期待される運動発達から遅れたり、正確でない動きを獲得してしまっても、療育を開始することで正確な運動発達を促しやすくなります。赤ちゃんの運動発達で「気になること」が現れ始める時期は、ずりばいやハイハイ等ダイナミックな動きが始まる時期であることが多く、お母さんが育休中に現れる赤ちゃんからのサインとも言えます。
つまり、「少し気になる」という段階で支援を開始する『予防』が大切だということです。発達障害児は、今も増え続けています。
『育休期間にお母さんへ療育の手技を伝え、家で自信を持って子育てをしていただく。支援の継続が必要な時にはお子さんに対する療育に加え、保育・教育の現場で自立力を伸ばしていく』。
このことが社会の通念となれば、ヒトの発達(人生)は保障されたようなもの。関係機関で力を合わせて、実現していけることを願います。