小児精神科医からの報告(抜粋)

広島市こども療育センター小児科医 坪倉ひろみ先生

 

近ごろ、よく使われるようになった『発達障害』という言葉ですが、原因は「脳の障害」というのが専門家の一致した意見です。が、なぜか一般的には「心の障害」として解釈され、コミュニケーションやソーシャルスキルなどの訓練によって獲得されようという、精神科的な療法が中心になっているのが現状です。ところが、一方で、運動発達の障害のほうが早く現れるのではないかと、あるいは運動発達そのものが発達障害の原因ではないかという説が、アメリカなどから出始めています。通常広汎性発達障害というと、社会性の問題、コミュニケーションの問題、こだわりなど主要症状が注目されがちですが、身体の問題がベースにあるということを頭の片隅に置いておくことは、大切だと思います。しかし、逆に運動に問題があれば、即座に広汎性発達障害になると診断されるものではありませんので、子育てに不安をいだかないように支援できればと思います。(赤ちゃん学力フェVoL2日本赤ちゃん学会編より)